この数十年、私たちのライフスタイルはずいぶん変わりましたが、QOL（生活の質）に関してはいかがでしょうか？

ナレッジがグローバル規模でつながり、テクノロジーが急速に発展する一方で社会は繁栄し人は幸せになっていますでしょうか？
確かに便利な世の中にはなり、生活の選択肢も増えました。
しかしそれらの欲求は青天井で、追求すればするほどに、地球は疲弊し、人の心も置き去りにされてきたかもしれません。

企業は、レッドオーシャンの中で、利益確保の差別化のために多大なリソースを投入し、本当に社会へ本質的な貢献ができていますでしょうか？
教育機関は、旧態依然としたフレームで学問を教え、サイロ化した研究活動の中で、知が社会へ十分還元されていますでしょうか？
行政は、タテ割り組織とことなかれ主義で、シチズンシップが不十分な総合計画だとしたら、未来は持続可能でしょうか？

モノに溢れ、確立されたシステムで固められた成熟社会の中で、私たちはワクワク感やハングリー精神を失ってはいないでしょうか？

特に日本は、先進諸国に比べると、幸福度（社会）、生産性（経済）、循環型社会（環境）などのサステナビリティ要素のいずれもが見劣りしているようです。
それ以外にも、少子高齢化、食料/資源の自給率、社会的孤立、子供の貧困、ゴミ問題、心の病、安全保障、伝統産業の衰退などをはじめ、深刻な課題をたくさん抱えています。

しかしその一方で、企業リソースや科学技術の蓄積、豊かな自然、匠の技、美的感性、ホスピタリティ、クリエイティビティなど、ソフト資産も多いです。企業は、目先の利益だけでなく、少なくとも10年,20年後の未来社会を見据えて、顕在的/潜在的な社会課題に対してリソースを割き、私たち一人ひとりは、現在の社会システムを理解し、科学的リテラシー、美意識、感性などを磨くことで、環境と文化、経済が豊かな社会に貢献できると考えます。